コラム
水素水は効果なし効果あり、どっち?実態と批判を徹底検証
投稿日:2016年10月20日
2015年12月13日、『健康カプセル!ゲンキの時間』というテレビ番組で水素水が特集されたことがきっかけで空前の水素水ブームが起こりました。
取り上げられた当初は「水素水は効果がある」という情報一辺倒でもてはやされていましたものの、2016年5月16日に『美容、ダイエットと何かと話題の「水素水」 実はかつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…』という記事(産経新聞)がYahoo!ニュースで掲載されたことをきっかけに、各社メディアが「水素水は効果なし」「水素水は詐欺」という趣旨の記事を次々に掲載。
一般消費者を巻き込んで大規模な水素水バッシングに発展しました。
水素水は効果がないのか、効果があるのか、本当のところはどうなのでしょうか。
この記事では水素水の効果の実態と、それに対する批判を徹底検証したいと思います。
まずは水素水のキホンを再確認
水素水が話題になることが多くなっている昨今でも、マスメディアや一般消費者の間で「水素水」の定義や性質を誤って理解している方も多いです。
そこで効果・効能の話を始める前に、「水素水とは何なのか」という基本的な部分を改めて確認しておきます。
(*「水素水のキホンは熟知しているから、早く効果を知りたい」という方はこちらから効果のパートにスキップできます)
水素水とは
水素水とは分子水素(化学式:H2、以下「水素」と表記)が溶けた水です。
2007年、水素に抗酸化作用があることを細胞実験にて明らかにした論文がネイチャーという科学雑誌に掲載されて科学者の間で注目を集めました。
それ以降、医療や健康予防の分野への応用を視野に基礎研究と臨床試験が進んでいます。
なお、現在研究が進んでいる水素は、「マイナス水素イオン」「活性水素」「プラズマ水素」などと混同されがちですが、それらと水素は別物ですので注意が必要です。
(*特に水素ブームに便乗した粗悪品には十分ご注意ください)
水素は水にどれくらい溶けるのか、溶けた後にどれくらいの時間をかけて抜けていくのか
水素は20℃・1気圧下で約1.6ppm溶存(≒溶ける)する性質を持っています。
(✳︎ppmは水素濃度の表記でしばしば使われる単位です。1ppm=1mg/l)
気体が水に溶けているため、水温が低いほど多くの量の水素が溶存し、逆に高いほど溶存量は少ないです。
水素水の中の水素は拡散性が高く、グラスに注いだ状態だと半日程度で全て抜けてしまいます。
そのため、生成直後のものを短時間で飲用するか、水素を逃がしにくいアルミ製の容器に保存するのが一般的です。
(*ペットボトルは水素を保持できないため、1日程度で水素濃度がゼロになります。ご注意ください)
現在の水素水製品の主流は、飽和の50%程度の0.8ppmを超える製品が主流となっています。
(参照:水素水開封後、水素が抜けて濃度ゼロになるまでの時間)
水素水を飲んだ直後の、体内の水素濃度変化
水素水を飲むと10分以内に体内に巡り吸収され、その後1時間以内に余剰分が体外に排出されます。
なお、水素は脂質に留まりやすい性質を持っており、痩せている人よりも肥満体型の人の方が、長時間体内に留まる傾向があります。
こうした水素の動態は、臓器に水素濃度計を刺した実験用ラットに水素水を飲用させ、取り込まれた水素量を直接計測することで明らかになりました。
さすがに同様の実験を人体で行うことは倫理的に許されないため、この実験をもって「水素水を飲むことで、一定量の水素が体内に取り込まれる」と結論づけられており、人体でも同様のプロセスで水素が取り込まれていると考えられています。
水素のメカニズム
水素の作用メカニズムには2通りのパターンが考えられています。
1つ目は、水素(H2)が活性酸素(ヒドロキシルラジカル(・OH))と結びつき、水に変化するというもの。
このメカニズムは多くの水素水メーカーが製品販売ページで謳われており、世間一般での水素のイメージに近いです。
2つ目は、水素が間接的に遺伝子に働きかけ、抗酸化や免疫、代謝などに関わる分子を制御します。
このメカニズムは2016年に発表された論文で明らかになったものであり、水素の複雑な作用を説明する有力な説として注目されています。
なお、水素関連の書籍で「水素は遺伝子のスイッチをオン/オフする」という記述を見かけることがありますが、それはこの2つ目のメカニズムのことを指しています。
他の抗酸化物質と比較して水素が優れている点
これまでの研究で水素には抗酸化作用、免疫機能の正常化、脂質代謝の亢進など様々な作用があることがわかっています。
中でも抗酸化作用が特に注目度が高く、それゆえビタミンCやビタミンE、もしくはファイトケミカルなどの、同じく抗酸化作用を持つ物質群と比較されやすいです。
水素がそれら抗酸化物質と比べて優れている点は2点あります。
1点目は全身の隅々までいきわたる点です。
水素は拡散性が高く、他の栄養素がなかなかたどり着けない細胞の奥深く(ミトコンドリアや核内)まで、短時間で到達します。
2点目は細胞内の働きの違いです。
水素は直接もしくは間接的に活性酸素を無毒化するだけでなく、遺伝子に働きかけ細胞の機能を遺伝子レベルで制御します。
こうした点は水素ならではの特徴であり、他の抗酸化物質と比べて優れています。
水素の毒性・安全性について
水素は毒性のない安全性の高い分子です。
もともと水素は深海潜水(ダイビング)の世界で広く使用されており、減圧症や動脈血栓を予防する目的で水素の混合ガスが日常的に使われています。
水素水として摂取した際の安全性も科学的に検証されてきました。
過去にマグネシウムスティックで作られた水素水を用いた臨床試験にて、軟便などの症状が確認されました。しかし、それ以外の研究では動物実験・臨床試験ともに副作用は確認されておらず、また細胞実験においても遺伝子変異や細胞毒性などは確認されていません。
日本では、水素は安全な食品添加物として厚生労働省から承認されています。
水素水の効果
意外と知られていない実態を徹底解剖
水素水の効果を検証するには、一般消費者が市販水素水を飲んで実感した効果と、研究者が科学的な考察に基づいて検討した効果の両面を知ると、実態がつかみやすいです。
下の図では代表的な水素の効果を、実感ベースと科学的根拠に基づいたものとを分けてまとめました。
一般消費者が市販水素水を飲んで実感した効果
当サイトでは2016年10月ごろに、健康増進目的で水素水を飲み、その効果を実感した人(サンプル数:272名)を対象にアンケートを実施。一般消費者が市販水素水を飲むことで、どのような効果を実感しているのか調査しました。
最も実感されている効果は「便通の改善」「肌質の改善」「疲労感の緩和」
アンケート調査の中で最も実感の割合が高かった効果は、「便秘が解消された」「お通じの回数が増えた」といった便通改善効果が33%で最多。
続いて、「化粧ノリがよくなった」「ニキビなどの肌荒れが改善した」「乾燥肌が良くなった」「アトピーが良くなった」といった肌質改善効果が29%。
そして、「疲れにくくなった」「疲労回復が早くなった」「体力が底上げされた」といった疲労感緩和効果が28%でした。
それ以外では、「おしっこの頻度が高くなる」「代謝が良くなった」「睡眠の質が上がり、寝起きが良くなった」「二日酔いになりにくくなった」「風邪を引かなくなった、もしくは引いたとしても治るのが早くなった」「ダイエット効果」「むくみ改善」「血圧の数値改善」といった効果が寄せられました。
今回の調査で回答した大半の人は、すでに健康であり、日々の生活をより健康に過ごすために水素水を飲まれており、身近な健康トラブルに対して(実感ベースで)効果を発揮していることが伺えます。
(参照:水素水素水の効果 – 最も実感されている3つの効果+α)
効果実感までの期間は1ヶ月以内
「水素水は即効性がないため、何ヶ月もの間、長期で飲み続けなければ効果がない」と考えている方がいらっしゃいます。
ところが、効果を実感してる方の90%は1ヶ月以内に何らかの効果を実感しています。
ご自身の体に水素水が合っているか見極めるのであれば、1ヶ月の継続を目安に判断すると良いでしょう。
一般消費者が実感している効果に対する科学的根拠の現状
市販水素水を飲むことで得られた効果の中には、科学的根拠があるものもあります。
例えば、「疲労感の緩和」と「睡眠の質の改善」はプラセボ効果を排した二重盲検法による臨床試験で、その効果が実証されています。
また「肌質の改善」や「代謝の亢進」、「ダイエット効果」についても動物実験および細胞実験レベルで効果が示唆されています。
もちろん動物実験や細胞実験によって得られたデータをそのままヒトに当てはめることはできず、最終的には二重盲検法による臨床試験で効果を実証しなければなりません。
しかし、その前段階として動物や細胞を使った予備実験は不可欠であり、それらを踏まえた上での臨床試験への展開が期待されます。
よく「水素水の効果には科学的根拠がない」という表現を見聞きしますが、これは「科学的に全く研究されていない(されたとしてもネガティブなデータしかない)」と捉えられかねず、注意が必要です。
正確には「科学的根拠が揃いつつあるが、まだ薬や医療機器として認可を受けるほど十分ではない」と表現されるべきであり、現在、実際に飲んだ人が実感している効果に対し、客観的かつ合理的な方法で、科学的根拠を付与する研究が進んでいます。
科学的なアプローチで効果が検証されている領域
水素水の科学研究は、28の医学分野、135の具体的な疾患に対して行われています。
水素研究が本格化して10年ほどが経過しています。
初期は細胞実験や動物実験が主流でしたがそれもある程度落ち着き、今は「人に対してどれほどの効果があるのか」という臨床試験に多くのリソースが割かれています。
これまで発表された臨床試験結果により、「疲労の緩和と睡眠の質の改善」「筋肉疲労の緩和」「動脈硬化(血管内皮機能の向上)」「脂質異常症の改善」「Ⅱ型糖尿病の改善」「パーキンソン病の改善」「リウマチの改善」などの効果が、プラセボを排した二重盲検法により明らかになりました。
動物実験では、「肥満」「アトピー」「網膜障害」「Ⅰ型糖尿病」「腎障害」「高血圧」「パーキンソン病」「不妊治療」などの領域で。
細胞実験では、「酸化ストレス軽減」「細胞内シグナル伝達の改変」「脂肪の蓄積抑制」「脂質代謝活性化」「不妊治療」「紫外線の細胞へのダメージ軽減」などの領域で成果が出ています。
参照:
- 水素水の効能 – 論文に裏付けられた科学的根拠
- 分野別の論文の要約とソースを知りたい方はこちら
- 近年の水素研究動向を原文(英語)で読みたい方はこちら
水素水の科学研究は急ピッチで進んでおり、現在も複数の医療機関で治験が行われています。
これから3〜5年以内に、疾患に対する水素水の効果が次々と明らかになっていくことでしょう。
効果なしと言われる理由とその検証
水素水はマスメディアやネット上でしばしば批判の対象になっています。
批判内容を精査すると、「議論の前提に誤認がある批判」「水素科学が発展途上であるがゆえの批判」「製品・広告の問題」「水素水の飲み方に起因する批判」の4つの類型に分けられるように思います。
その比率をみると、批判の半数以上が「議論の前提に誤認がある批判」となっており、それが原因で話がかみ合わないことも多いです。
ここでは各類型に分類された具体的な批判を一つずつ取り上げ、その内容を検証してみたいと思います。
議論の前提に誤認がある批判
「水素水」というテーマは比較的新しく、その実態を理解するには論文を読み解いていかなければなりません。
にもかかわらず、一部のウェブサイトやメディア、業者は、不十分なリサーチによる誤った情報や、又聞きした不正確な情報を掲載したり、悪質なケースでは自分にとって都合の良い情報を勝手に捏造したりしており、一般の方が正確な情報を取捨選択するのが非常に困難です。
こうした状況下で行われている水素水論争には、しばしばその前提に事実誤認があり、その割合は批判全体の65%にのぼっています(*当サイト調べ)。
以下はその代表的な批判の例とそれに対する回答になります。
水素水は疑似科学である
水素水に関連する論文は現在300報を超えており、それらのインパクトファクター(論文の質を示す指標)の平均は約3.5となっています。
これは世界的に見ても上位5%以内に入る高水準であり、少なくとも科学者の間では非常に高い評価を得ています。
これを疑似科学というのであれば、いったい何をもって科学と言うのでしょうか。
普通に義務教育を受けていれば嘘だとわかる
これまで水素は生理活性のない(生体に何の影響も及ぼさない)分子だと考えられてきた歴史があり、それがかつての通説となっていました。しかし2007年に水素の抗酸化作用を発見した論文が発表され、現在は生体内で様々な活性を持つ分子であると認識が変わりつつあります。
これは生物学の中のパラダイムシフトであり、また比較的最近の出来事であることから、現行の義務教育の指導要領には組み込まれておらず、義務教育の知識だけ水素水を議論することは困難です。
水素って水に溶けてる必要あるの?
水素が水に溶けているメリットは2つあります。1つ目は「水素を効率よく吸収できる」こと、2つ目は「家庭で手軽に摂取できる」ことです。
気体の水素が体に吸収される際、一旦体液などの水に溶存する必要があります。水素水は初めから水素が水に溶存しているため、水と共に吸収され効率が良いです。
水素を摂取する他の手段として水素ガス吸引が挙げられますが、設備機器が高価で家庭で手軽に行えません。その点、水素水であれば市販品も多く流通しており、家庭でも取り入れやすいです。
水素水とアルカリイオン水は同じだ
以前、産経新聞の記者がこの点を誤認して記事を執筆したため、多くの方が誤解されています。
しかし、水素水は分子水素が高濃度に溶けた水、アルカリイオン水はpHが高い水であり、本来全く異なります。
購入の際は十分ご注意ください。
化学を学びなおせ
高校化学で「ヘンリーの法則」というものを学びます。この法則は気体の溶解度(=溶存量)を計算するときに使用します。ヘンリーの法則によると、気体水素は20℃1気圧下で約1.6ppmの濃度で溶存することができ、水素水の存在は高校化学でも十分理解できます。
なお水素水を、ヒトを含む動物が摂取した際、どのようなメカニズムで、どのような効果を発揮するのかは、生物学の領域であり、化学とは異なるアプローチで解明されるべき事象です。したがって、水素の体内の動態を化学で議論するのは誤りです。
水素は水に溶けない
先ほどのヘンリーの法則に照らし合わせても、化学的に水素が水に溶存することは説明できますし、ガスクロマトグラフィー(微量な気体濃度や成分を測定する機械)でも、水素が水に溶存する現象が確認されています。
また市販の水素濃度判定試薬や水素濃度計でも、水素生成器で水素を溶かす前後で溶液中の水素濃度が変化しています。
「水素は水に溶ける」というのが正しい情報です。
水素水は空気に触れた瞬間ただの水になる
これは一部の水素水業者が自社製品の優位性を誇張するために用いた表現であり、誤った情報です。水素水は、たとえグラスに注いだ状態であったとしても、(開封時の水素濃度にもよりますが)数時間は十分な濃度を保ちます。
(参照:水素水開封後、水素が抜けて濃度ゼロになるまでの時間)
水素水を飲んでも水素は体に取り込まれない
水素水飲用直後の水素動態を解明するために、水素濃度計を肝臓に刺したラットに水素水を飲ませ、肝臓内の水素濃度を直接計測した実験があります。
その実験では、水素水を飲んだ直後10分以内に肝臓内の水素濃度が急速に高まり、その後1時間以内に余剰分が体外に排泄されるといった結果が得られています。
この結果から、水素水を飲むことで水素が体内に取り込まれることが明らかになっています。なお、倫理上の問題から人体で同様の実験は行えませんので、この実験結果をもって「ヒトが水素水を飲んだ場合でも、水素を体内に取り込める」という結論は、科学的に妥当です。
H10Oが・・・
おそらく、以前ネットで出回った下のイラストのことを言っているのだと思います。
これは昨今の水素水バッシングを揶揄したネタであり、科学研究が進んでいる水素水とは全く別物です。
まさかとは思いますが、一応、混同しないように注意してください。
抗酸化作用ならビタミンCの方が効果あるんじゃないのか
水素とビタミンCの抗酸化作用を直接比較した実験がないため、何とも言えません。今後必要があれば、そうしたデータが公表されるかもしれません。
水素には活性酸素(ヒドロキシルラジカル)を減らす作用だけでなく、遺伝子に間接的に働きかけ、抗酸化や免疫、代謝に関わる遺伝子をオン/オフさせます。また透過性が高く、細胞の内部まで容易に到達します。こうした性質はビタミンCにはないので、その点は水素の方が優れていると考えられます。
水はもともとH2Oであり、初めから水素が溶けている
水分子(H2O)に含まれる水素(H)と、水素水の中の分子水素(H2)は、化学式も性質もまったく異なります。そのため「水(H2O)に水素(H)が含まれているから水素水は無意味だ」という主張は成り立ちません。
すぐに消えるヒドロキシラジカルが体内にどれだけ存在するんだ
まず「ヒドロキシラジカル」ではなく、「ヒドロキシルラジカル」が正確な和名です。
某水素水メーカーが、ネット上で「ヒドロキシラジカル」と書かれた誤植をそのままコピペして広告を打ったため、こうした間違った和名が広く浸透した背景があります。
正しくは「ヒドロキシルラジカル」ですのでご注意ください。
そしてヒドロキシルラジカルは、体内に常に一定量存在します。
しかしその多くは細胞内の抗酸化酵素や抗酸化物質により中和され、悪さをすることはありません。
ところが、ストレスや喫煙、紫外線や肥満によってヒドロキシラジカルの発生量が増えると、細胞の持つ抗酸化能では対処しきれなくなり、余剰のヒドロキシラジカルが細胞を破壊し始めます。
この状態が、様々な病気を引き起こすことから問題となっているのです。
(参照:「カラダがサビる」の生物学的な意味)
水素が体内で拡散するとはどのような理屈なのか
通常、物質が体の隅々まで拡散するには、細胞膜を直接透過するか、細胞膜上にある輸送たんぱく質を介して細胞内に輸送される必要があります。
こうした制約から、ほとんどの物質は体内(特に細胞内外)を自由に移動できません。
しかし水素は非常に小さい分子であり、細胞膜を容易に通過し核やミトコンドリアの内部まで短時間で到達できます。
「水素が体内で拡散する」という理屈は、こうした水素の性質からきています。
水素水は普通に水道水と同じ水素量だから、水素水を飲んでも意味がない
水道水に含まれる水素量は、水素水の100万分の1以下でありごくごく微量です。
当然水道水を飲んでも水素水と同様の効果は得られないため、水道水と水素水は別物として考えないといけません。
この誤解は、2016年5月18日に放送されたフジテレビの番組『直撃LIVEグッディ!』にて、ナレーターが「水道水にも微量の水素が含まれる」と発言したことで生まれました。
確かに水素水の100万分の1であっても「微量」という言葉に嘘はないのですが、その表現が思わぬ誤解を招いています。
水道水と水素水の水素量は全く異なりますので、注意してください。
水素科学が発展途上であるがゆえの批判
水素水に対する研究が発展途上であるがゆえに、批判の対象となっているケースもあります。こうした批判は現時点では「はい、その通りです」と答えるしかありませんが、今後の研究動向によっては答えが大きく変わる可能性があります。
腸内では水素産生菌によって水素が作られている、だから水素水を飲んでも意味がない。
確かに腸内細菌の中には水素を産生するものもおり、おならには多くの水素が含まれています。この事実は水素研究が始まる初期から着目されており、腸内の水素ガス産生と比べて水素水飲用がどれほど有用なのか、複数の研究で科学的に検討されてきました。
例えば、脳神経保護[1]やパーキンソン[2]病では、「腸内で発生させた水素には効果がなく、水素水を飲むことでしか効果が得られない」という報告があります。
(参照1:Oral ‘hydrogen water’ induces neuroprotective ghrelin secretion in mice)
(参照2:Drinking hydrogen water and intermittent hydrogen gas exposure, but not lactulose or continuous hydrogen gas exposure, prevent 6-hydorxydopamine-induced Parkinson’s disease in rats.)
また炎症抑制作用では、「腸内細菌が発生させた水素にも一定の抗炎症作用が見られたが、水素水を飲んだ時の方がより高い効果が得られた」という結果[3]が得られています。
(参照3:Hydrogen from intestinal bacteria is protective for Concanavalin A-induced hepatitis)
これら研究結果から腸内細菌が産生する水素と、水素水を同一に考えることは難しく、「腸内で水素が作られるから、水素水は意味ない」という批判は短絡的だと思われます。
おならにも水素が含まれるから、おならを我慢すれば健康に良い?
これは上述の「腸内細菌が水素を産生する」という事実をもとに水素水を揶揄した表現です。おならには有害物質も多く含まれ、長時間我慢するとそれらが体内に吸収されていきます。
まさかとは思いますが、「水素が含まれているから」という理由だけでおならを我慢しないようにしてください。
科学的に証明されていない
「科学的に証明されていない」という表現は誤解を招きやすく解釈に注意が必要です。
「科学的に証明されつつあるが、まだ薬や医療機器として認可を受けるほど十分にデータや手続きが揃っていない」という表現の方が実態に則しているでしょう。
薬や医療機器の認可には、お金と時間がかかります。(特に薬の認可には、届け出から何年もの時間がかかるのが普通です)
水素水が科学的に研究されるようになって10年ほどしか経っておらず、仮に十分なデータがそろったとしても、それらが審査され承認されるにはまだまだ時間がかかります。
こうした状況に対し、「そうであれば、機能性表示食品として届け出ればいいじゃないか」という反論も出てくるかと思います。
しかし水素は定量することができないことから、機能性表示食品の対象成分に含まれておらず、今の法制度でそれを取得するのは困難です。
なお、水素が機能性表示の対象成分に含まれていた場合、その届け出に必要なレベルのデータであれば、「睡眠の質の改善」や「疲労感の改善」といった分野で既に出ています。
今後法改正があったり、水素を定量する手法が確立されたりすれば、機能性表示食品として販売されることもあり得ます。
二日酔いや便秘改善は水を飲んだから改善したのではないか
水素水を飲んだ方が実感される効果の中に、「二日酔いになりにくくなった」「便秘が治った」という口コミがあります。
確かに、二日酔いの原因の1つに脱水症があり、また普段水を飲まない人がしっかり水分補給をすると便秘が治ることがあります。
そのため、水素水を飲むことで、それらの原因が解消されて二日酔いや便秘に効いた可能性は十分に考えられます。
これらの効果が本当に水素水によって得られたのか判断するには、普通の水を飲むグループと水素水を飲むグループに分けて臨床試験を行わなければなりません。
しかし、昨今の臨床試験の対象は、パーキンソン病やアトピー、脳梗塞や人工透析など優先順位の高い領域に資金と人員が割り当てられており、二日酔いや便秘といった身近な領域まで手が回っていません。将来的に検討される余地はありますが、相応の資金と人手と時間が必要で、仮に結果が出たとしてもインパクトファクターの高いジャーナルに掲載できる見込みが薄く、科学者にとって魅力的な研究対象とは言い難いです。そのため現時点では、今後そうした研究が行われるかも含め、何とも言えない状況かと思います。
製品・広告の問題
水素水に対する批判の中には、製品やその広告に対するものもあります。
宣伝っぽい
確かに2016年4月以前は、水素水の効能を過剰に煽った広告をよく見かけました。
中には一部の偏ったモニターの体験談を取り上げ、製品を少しでもよく見せようと躍起になっているものもありました。
しかし2016年8月頃から、消費者庁は各業者に対し景品表示法や健康増進法に基づく誇大広告等の指導が入り、優良誤認させる表現は激減しています。今では、指摘されるような「宣伝っぽい広告」は、ほとんど見かけないはずです。
効果不明な水素を商品化するのが詐欺まがいなんじゃないのか
メーカーは、薬機法や景品表示法、健康増進法の規制により、(仮に科学的に証明されていたとしても)水素水の効果効能を明記できません。
また機能性表示食品の届け出も、水素が機能性表示の対象成分でないことから、現状のままでは十分なデータがあっても届け出ることができません。
こうした状況により水素の効果が不透明なまま流通してしまっています。
しかし、実際に水素水を飲んでいる人の中には、体調の変化を実感しそれに満足している方が多く、毎日の健康維持に欠かせないアイテムとなっています。当然その評判は口コミでも広がっており、「家族や知人に紹介されて水素水を飲み始めた」という方も多いです。
確かに、一時期は誇大広告ぎみな販売方法が散見され問題となっていましたが、今ではそれも落ち着き、本当に欲しい人だけが購入できる環境ができつつあります。
こうした状況下で、「水素水を飲みたい」という顧客のニーズに対して企業が製品を販売することを『詐欺まがいである』というのは若干乱暴なように感じます。
水素水の飲み方や製品の選び方に起因する批判
水素水の飲み方や、製品の選び方に問題があり、それがきっかけで批判に発展するケースもあります。これらは、水素水の性質や取り扱い方を知ることで解決できることがあります。
水素水の効果が実感しにくい
水素水の効果が実感しにくいのは、多くの場合、飲み方に問題があるからです。
最もよくあるNGパターンは「水素水をたまたまコンビニやスーパーで見かけ購入。試しに1本飲んでみて何の効果も感じなかった」というものです。
当サイトが行ったアンケート調査によると、水素水の効果を実感している人の中で、試しに1〜2回飲んで効果を実感した人は全体の7%程度と少なく、
実感した人の半数以上(67%)の人は、ほぼ毎日(週に5日以上の頻度で)、200ml〜600mlの水素水を飲まれています。
そして90%の人が1ヶ月以内に何らかの効果を実感していることから、「毎日200ml以上の水素水を1ヶ月飲む」という飲み方を目安にしていただければ、その効果をより実感しやすくなるでしょう。
(参照:水素水の正しい飲み方 – 水素の力を最大限に引き出すコツ)
水素水に効果はあるが、市販されている水素水に水素が入っているとは限らない
「水素水」と表記されているにもかかわらず、実際にはほとんど水素の入っていない粗悪品が一部では流通しています。
そうした粗悪品を手にしないためには、水素水の選び方のコツを知ることが最も有効です。
水素水には様々な種類があり、その特徴や対象ユーザーが異なります。
例えば「水素水を始めて飲む」「水素水の効果をまだ実感していない」という人には、アルミパウチやスティックタイプの水素水が適しています。
これらは水素水の製品タイプとして非常に優れており、臨床試験でもしばしば導入されています。最初に手にする水素水として最も失敗が少ないでしょう。
ところが、上記2タイプには「価格が高い」というデメリットがあり、それが原因で効果を実感しているにもかかわらず、継続を断念する人もいらっしゃいます。
そこで「水素水の効果を実感した。継続したいからもっと安価に水素水を飲みたい」というニーズに応えるのが、水素水サーバーと水素水生成器です。
選び分けとしては、3人以上のご家族で飲まれるのであれば水素水サーバーが、1〜2人で共有するのであれば水素水生成器を選ぶと良いでしょう。
なお、コンビニやスーパー、薬局でよく見かけるアルミボトルタイプの水素水は推奨しません。
アルミボトルは再密封が困難な上、運搬時に中の水素水が震とうしやすいため、水素が抜けやすいです。
そのため、開封直後に水素が入っていたとしても、短時間ですべて飲みきらないとただの水になってしまうという弱点があります。
当サイトのアンケート調査でも、アルミボトルタイプの水素水で効果を実感している人の割合は少なく、できれば避けたほうが無難です。
水素水は効果があるけど効果がない?
水素水を飲む人の体調や目的、製品の品質と飲み方にはバラツキがあり、すべての人が上記のような効果を実感するわけではありません。
しかし、水素水を飲んで効果を実感している方は間違いなくいらっしゃいます。
「特別なことをせず、ただ飲むだけで効果が得られたのがとてもうれしかったです」
「私の肌は下手に化粧水を使うと逆に荒れてしまうので、水でできるというのは中から綺麗にしている感じがしていて満足です」
といった声が寄せられており、健康維持のためにサプリメントや薬に依存するのではなく、水を変えるというシンプルなアプローチで実感できることが、魅力となっているようです。
一方で、水素水の効能を検討する科学研究は発展途上であり、現在進行形で多くの治験が行われているものの、そのデータは現時点で十分とは言えません。
そのためメーカー各社はその健康効果を把握していても、薬機法・健康増進法・景品表示法の規制により効果効能を標榜できない状況です。
実感ベースで効果がある、けれど法的には効果がない(=「効果あり」と訴求できない)。
水素水の効果にはこうしたイビツな構造があり、この状況を研究と法手続きの両面から解決していくことが、水素水普及の大きな課題となっています。
あわせてお読みいただきたい記事
- 水素水の基礎知識
- 水素水の効果 – 最も実感されている3つの効果+α
- 水素水の効能 – 論文に裏付けられた科学的根拠
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- 水素水の種類とその特徴
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